2015年11月1日日曜日

長期投資を株価指数CFDでやる理由

自分はインデックス投資家として、日経平均株価やS&P500、DAXなど株価指数への長期投資(バイアンドホールド)に先物の派生商品であるCFDを積極的に利用しています。
その理由は主に以下の3つ。

  • 最近の低コストインデックスファンド・ETF並にコストが安い(+CFDは配当分非課税)
  • 夜間を含め取引時間が長く流動性も十分でリアルタイムに取引が可能
  • 投資資金と建玉数を調整することでレバレッジを細かく設定可能(レバレッジ1.2倍など)

3つの理由の説明

コストは金利によって決まり、2015年現在、取引所CFD(くりっく株365)で年利0.075%ほど、GMOクリック証券CFDで年利0.5~0.6%ほどです。
(ただし、金利は1999年2月以来15年以上今のような低い状態が続いていますが、今後長期で見た場合にはゼロ金利政策を脱出して上昇する可能性もあるので、この低コストが今後何十年と続く保証はありません。)
くりっく株365のコストは破格であり、GMOクリック証券CFDも最近の低コスト投資信託と比較すると見劣りするものの高くはありません。
また、CFDは現物と違って必要な資金が少ないですので、余った資金を国内債券やSBJ銀行の1週間定期預金(年利0.2%)などの無リスク資産で運用することによってコストのさらなる削減を狙えます。

取引時間メリットについては、特に売買タイミングを重視するインデックス投資家にとっては重要でしょう。

レバレッジについては、レバレッジをかけて取引したい人にとってCFD(もしくは先物)がベストな解です。ETFのレバレッジ商品や信用取引はコストが高く、はっきりいってCFDの敵ではありません。

補足事項

先物・CFDと聞くと配当を貰えない印象を受けるかもしれませんが、その仕組み上、買い方が売り方から配当金相当額を受け取ることになりますで心配は不要です。
また、先物はロールオーバーが必要なため確定益が課税対象となりますが、CFDは業者の側でロールオーバーするため買いっぱなし放置で課税も発生しません。(価格調整額という名称で含み益に勝手に入ります。)

なお、この記事で指すCFDは、取引所CFD(くりっく株365)またはGMOクリック証券のCFDとします。
GMOクリック証券のCFDを挙げているのは特に売買手数料が低コスト(0.01~0.04%程度)なためです。
また、取引所CFDはマーケットメイク方式により理論価格の短期金利が無担保コール翌日物金利(2015年現在年利0.075%前後)となっており非常に保有コストが小さいです。
GMOクリック証券の短期金利は2015年現在0.5~0.6%ほどです。
短期金利は投資信託の信託報酬とほぼ同じ性質を持つコストで、投資信託をよく知っている人は上記の数字が安価だと分かるでしょう。(GMOクリック証券の方は最近の低コスト投資信託と比較すると多少割高に感じるかもしれませんが)

最後に注意点として、CFDも先物取引もNISA口座では使えません。NISA口座は(SBI証券などでは)海外ETFの売買手数料無料特典がついてたりするのでVTI・VXUSやVTなどの海外ETFが低コストなためおすすめです。

以下、上述の3つの理由が成立する根拠について説明していきます。
※裁定取引(アービトラージ)というワードが頻出しますが、その内容については前回記事「株価指数先物・CFDの理論価格は?」を参照してください。

株価指数先物・CFDでかかるコストは?

売買手数料と短期金利です。
売買手数料は、GMOクリック証券CFDの場合0.01~0.04%です。(10万円あたり10~40円のイメージ)
短期金利は2015年現在、取引所CFDの場合は無担保コール翌日物金利で0.075%ほど、GMOクリック証券の場合は0.5~0.6%程度です。
なぜ短期金利なのかについては、「株価指数先物・CFDの理論価格は?」を参照してください。
GMOクリック証券の金利の算出はこちらの記事を参照: 「GMOクリック証券CFDのコスト - 日経平均とDAX」「GMOクリック証券CFDのコスト - S&P500

補足: 先物の金利と信用取引の金利の違い

先物の金利は裁定取引(アービトラージ)が発生する際の株価にかかるの対して、株・ETF信用取引の金利は購入時の株価にかかるため、正確には性質が異なります。
信用取引の場合は極端な話、購入後に株価が10倍になっても金利の負担額は変わりません。
一方先物の金利は裁定取引発生時の株価にかかりますので株価が10倍になったら金利の負担額も10倍になります。
インデックスファンドもその日の価額毎に信託報酬が年利計算でかかるため、先物の金利と同じ性質を持っています。
そのためいかなる場合でも信用取引のコストが先物・CFDやインデックスファンドに対して不利だというわけではありません。

株価指数先物・CFDの購入単位は?

レバレッジをかけない場合(レバレッジ1倍の場合)は、CFDの購入単位は(対象とする株価指数・為替レートによりますが)だいたい20万円程度です。
投資信託やETFと比べると大きめですが十分細かく買えるレベルと言えるでしょう。
先物については、日経平均2万円の時に日経225ミニが200万円、日経225先物が2000万円と購入単位は大きいです。
ただし、先物もCFDもレバレッジをかけることが可能なので、レバレッジをかける場合はもっと小さな単位で購入可能です。
そのためたまたま口座に資金が少なくても突然の下落等で購入のチャンスがあった場合は、(レバレッジ限度の範囲で)購入してから後日入金してレバレッジを1に戻すということも可能です。

株価指数先物・CFDでは配当を貰える?

株価指数の先物・CFDで買い(ロング)をしている側は売り(ショート)をしている側から配当を貰えます。
そうでなければ先物取引の仕組み上、裁定取引(アービトラージ)が可能となるためです。
詳細な理由は「株価指数先物・CFDの理論価格は?」を参照してください。

先物の仕組みを知らない場合に感じるかもしれない疑問

ここでは先物の仕組みを知らないと生じがちな疑問に対する見解を列挙します。

先物取引・CFDはレバレッジがあるので危険なのでは?

レバレッジをかけるのは権利であって義務ではありません。
レバレッジをかけることが危険だと感じるならレバレッジを1倍にすれば全く問題無いですし追証も発生しません。
ちなみにそれはFXも同様です。

先物取引・CFDはゼロサムゲームだから儲からないのでは?

先物取引はゼロサムゲームですが、裁定取引があるため儲かるかどうかと関連性はありません。
そもそも裁定取引によって現物と価格が連動しているので儲かるかどうかは現物と変わりません。
実際のところ、現物がプラスサムであれば、裁定取引業者の損益を無視した場合に先物取引参加者の損益はプラスサムとなります。
裁定取引業者は先物で損をしても現物で得をするという取引を行っていますし、その逆も行うのでトータルの損益は現物と合わせて考える必要があるのです。
たとえば、株価が上昇し続けている時に(裁定取引をしない)先物取引参加者が全員買いをした場合を考えてみましょう。
この時先物価格が現物よりも高くなるので、裁定取引業者は現物買い・先物売りの裁定取引を行います。
すると裁定取引業者は先物取引では損をします(これによって先物取引自体はゼロサムとなります)が、現物でそれ以上の利益を出しているのでトータルでプラスです。 その他の先物取引参加者も買いなのでもちろんプラスです。
じゃあトータルで損をしたのは誰かというと、そもそも現物は(株価が上昇を続ける限り)プラスサムなので誰もいないかもしれないですし、現物を空売りした人が損をしたかもしれません。
もちろんこの例は極端な話であって、現実にはいろんなプレイヤーが現物・先物の境界無しに入り乱れています。

先物取引・CFDはヘッジ目的でするものであって投資じゃないのでは?

先物取引・CFDはヘッジがしやすいからヘッジ目的で行う人・機関が存在するだけであり、先物取引・CFDがヘッジのために存在するわけではありません。
ヘッジがしやすいというのは、現物株の取引時間外で売ることができるというのと、日経平均225銘柄を同時に売るのが難しいのでひとまず先物を売った方が簡単だという意味です。
また、この記事では扱っていませんが商品の先物については商品の現物を売買する業者がヘッジ目的に利用しており、そもそも先物の発祥がそこにあるので、ヘッジという印象が強いのかもしれません。
株価指数の先物・CFDが長期投資に使える理由については本記事上部で書かれている通りです。

自分の投資方針

NISA口座では(先物もCFDもできないので)売買手数料無料キャンペーン恒久化を利用して海外ETF(VTI + VXUS)で長期投資、他の口座はCFDで長期投資+短期トレードをしています。
(FXや商品先物CFDもやっていますが今回の記事では触れません)
CFDはGMOクリック証券を利用し、タイミング売買を絡めてレバレッジを1~1.5倍を目安に変化させています。(タイトにストップロス設定をしている短期ポジションについてはもっとレバレッジをかけることもあります。)
しかしCFDで扱われている株価指数は中小型株が無かったり、国もアメリカ(ダウ・S&P500・NASDAQ)・日本・ドイツ・フランス・イギリス・インド・中国など限られています。
そのためCFDに無いものについてはインデックスファンド(たとえばEXE-i グローバル中小型株式ファンドなど)を利用しています。
また、CFDを1~1.5倍という低レバレッジで運用している場合は現金余力が生じます。CFDでは最大20倍程度レバレッジをかけられるので、その分だけ必要証拠金が少なくなるためです。
その余力を(上でも書いた手法ですが)国内債券やSBJ銀行の1週間定期預金(年利0.2%)などの無リスク資産、それから金の運用などに回し、利回りの向上を図っています。(株価下落時に対応できるようリスクが小さくすぐ換金できる商品を選んでいます。)
レバレッジ商品はこのような資金効率の高さも大きなメリットです。

0 件のコメント:

コメントを投稿